【不動産売却】親の家を子供が代わりに売却する方法!~伊丹市の不動産会社~
2025/02/03
こんにちは、伊丹市の不動産会社がお届けする「不動産」に関する記事で今回は「親の家を売却する方法」についてお話します。
たとえ実の子であっても、親名義の家を勝手に売却することはできません。
親の家を子供が代わりに売却するには、「代理人になる」または「成年後見制度を利用する」という2つの方法があります。
こちらでは、この2つの方法を利用して親の家を子供が代わりに売却する方法についてわかりやすく説明します。
👉この記事で具体的にわかる3つのポイント
・親名義の家を子供が売る方法は、「代理人になる」か「成年後見制度を利用する」の2つ ・親の家を売るために、委任状を作成して子供が親の代理人になる方法について ・親の意思で子供を後見人にできる「任意後見制度」と、 親の判断能力がない場合に裁判所が後見人を選ぶ「法定後見制度」について |
この記事はこんな人におすすめです!
✅子供として、親の家を代わりに売却したいと考えている人
✅親の代理人になって家を売却する際の注意点について知りたい人
✅後見人制度を使って親の家を売却する方法を知りたい人
1.親名義の不動産を子供が勝手に売ることはできない
たとえ実の子供であっても、親名義の家や土地などの不動産を勝手に売却することはできません。
親から売却を頼まれたとしても、名義人の代わりに不動産を売却する手続きをきちんと踏む必要があります。
親の代わりに子が不動産を売却する方法は、次の2つです。
- 親の「代理人」として不動産を売却する
- 親の「後見人」として不動産を売却する(認知症などになった場合)
それぞれの方法について、くわしく説明します。
2.「代理人」として子供が親名義の不動産を売却する方法
親名義の不動産を子供が売却する代表的な方法として、まず、親の「代理人」になるがあげられます。
子供であっても親が名義の家を売却するためには、きちんと「代理人」となる手続きが必要です。
ここでは、子が親の代理人として不動産売却する方法についてくわしく説明します。
1-1.そもそも「代理人」とは
「代理」とは、本人以外の人間が、本人のために意思表示を行うことによって法律行為を行うことを指します。そして、代理を行う人が「代理人」です。
民法では、「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる(民法第99条)」と定められています。
つまり、子供が親の代理人となった場合、親に代わって家を売却することができますが、その契約は親と買主の間で直接結ばれるものであり、売却によって得られた金額は親のものになるということです。
📝ポイント
~「代理人」と「使者」の違い~
代理と似たものに「使者」がありますが、使者は本人がどんな法律行為をするか決めたことを、相手側に伝達する人を指します。 つまり本人の意思を伝えるだけで、意思表示や意思決定はできません。 もし使者によって何かの契約が成立したとしても、それ自体は本人にとって無効とされる点が、代理とは異なります。 そのため、親の家を親の代わりに売却する場合には、「代理人」となる必要があるのです。 |
1-2.代理人になるには「委任状」が必要
子が代理人となって親の家を売却するためには、親から代理権を委任されていることを第三者に証明する「委任状」が必要になります。
不動産の売却には、買主はもちろん、不動産会社や司法書士など多くの人が関係してきます。
子がいくら代理人であると主張しても、委任状がなければ取引を行うわけにはいきません。
なぜなら、もし親から実際には不動産の売却を委任されておらず、子が勝手に売却しようとしているのであれば、契約が無効になる、手付金を持ち逃げされるなど、大きなトラブルになる可能性があるためです。
1-2-1.委任状に記載が必要となる内容
委任状を作成するときには、代理権を付与する「委任の範囲」をできるだけ詳細に指定することがポイントです。
子が代理人になると、親に相談することなく判断を下せるので、「不動産の売却を一任する」といった内容だと、望まない金額で売却してしまう心配があります。
具体的には、以下の項目をあらかじめ定めて記載しておきましょう。
・売却物件の情報 ・売却価格や手付金の額 ・振込先 ・代理人の金額交渉権の有無や交渉金額の幅 ・代理人と委任する人の情報(住所や氏名など) ・委任状の有効期限 |
なお、委任状は不動産会社で用意してくれることが一般的です。
委任状には実印で押印し、印鑑証明書の添付が必要となります。
1-3.本人の意思確認が必要
親の実印が押された委任状があっても、それが偽造されたものでないかどうかを確かめるため、不動産会社が本人の意思確認を行うのが一般的です。
親子であれば実印の場所を知っていても不思議ではなく、委任状は簡単に偽造できてしまいます。
委任状が偽造であった場合、リスクを負うのは買主側です。買主側としては、慎重を期す必要があるため、委任状があったとしても、不動産の名義人である親に直接意思確認が行われます。
2.「後見人」として認知症などになった親名義の不動産を子供が売却する方法
子供が親の代理人になって不動産を売却しようとしても、親が認知症や病気のために、売却の意思表示や委任状の作成ができないこともあります。
そのような場合には、「成年後見制度」を活用するのが一般的です。成年後見制度とは、認知症や障がいなどによって判断能力が不十分な人を、法的に保護する制度のことです。
判断能力が衰えてしまった場合、悪意を持った人にだまされて不利な契約を結んでしまう可能性があります。そのような場合に備えて本人をサポートする「後見人」などをつけ、不利益を受けないようにすることが制度の目的です。
成年後見制度には、「任意後見制度」と「法定後見制度」がありますが、法定後見制度では、子が親の後見人などになって不動産を売却することは困難なのが現状です。
それぞれどのような制度か、くわしく説明します。
2-1.任意後見制度を利用する
任意後見制度とは、将来判断能力が落ちてしまう場合に備えて、判断能力がまだ十分あるうちにあらかじめ任意後見人を選んでおく制度です。
任意後見制度では、本人と任意後見人が、公正証書によって委託する内容について任意後見契約を結びます。
任意後見制度では、本人がどのように自分の財産管理を行うかを自由に決められるため、自分の子どもを任意後見人に選んでも問題ありません。任意後見人になると、本人の生活や財産管理を委託されます。
しかし、任意後見制度は、親の判断能力があるうちに任意後見契約を結ぶ必要があるので、認知症になってしまってからでは制度を利用できないことが問題です。
親の不動産をのちのち子が処分する必要があると考えられる場合には、家族でよく話し合い、制度の利用を検討するようにしましょう。
なお任意後見制度では、実際に制度を利用するときには家庭裁判所に任意後見の申し立てを行う必要があります。
2-2.法定後見制度を利用する
法定後見制度とは、判断能力のない本人に代わって、家庭裁判所が本人の判断能力に応じて、サポートしてくれる人を選ぶ制度です。
任意後見制度とは異なり、本人が自由に選ぶことはできません。
法定後見制度で選ばれるのは、次の3つの役割です。不動産取引においてはそれぞれの役目が異なります。
【法定後見人制度で選ばれる役割】
本人の状態 | 本人が不動産取引をする場合 | |
後見人 | 判断能力が非常に衰えている | 後見人が本人の代わりに法定代理人として取引を行う |
補佐人 | 判断能力にかなり衰えがある | 本人が取引できるが、補佐人の同意が必要 |
補助人 | 判断能力に少し衰えがある | 本人が取引できるが、不動産取引を行うときには補助人の同意を要するとの審判がなされている場合は、補助人の同意が必要 |
法定後見制度では、申し立てを行うときに子を後見人などの候補者として推薦できます。
しかし、親に多額の預貯金などがある場合には、後見人として選ばれるのは難しく、弁護士や司法書士などが選ばれるのが現実です。
成年後見制度が開始された平成12年には、親族が選ばれる割合が90%を超えていました。しかし、親族が後見人に選任されないケースが年々増え続けているのが現状です。その理由として、親族が後見人になることで、勝手に財産を使い込むなどの不正が行われる割合が高かったからだと考えられます。
まとめ
この記事のポイントのまとめがこちら。
・たとえ子供であっても、親が名義となっている家を勝手に売ることはできない ・子供が親の代わりに家を売るには、「代理人になる」か「成年後見制度を利用する」のどちらかになる ・親の代理人になる場合、次のような内容を記載した委任状が必要 ・委任状があったとしても、不正防止のために、通常、本人(親)の意思確認が行われる ・成年後見制度には、判断能力のある本人が後見人を選ぶ「任意後見制度」と、 本人に判断能力がない場合に裁判所が後見人を決める「法定後見制度」がある ・法定後見制度を利用した場合、裁判所から後見人として選ばれるのは弁護士や司法書士などが多く、 子供をはじめとする親族が選ばれるケースは2割にも満たない |
親の介護費用や施設への入居費用を捻出したいなど、たとえ親のために使う資金を確保するためであっても、子供が勝手に親名義の家を売却することはできません。
そのため、将来、子供が親の家を売却する可能性がある場合は、親の判断能力が落ちてしまう前に、親の代理人となって売却するか、任意後見制度を利用して任意後見人になっておくのが現実的です。
とはいえ、親の家を売却してどのくらいの資金が確保できるものなのか、気になるという方も多いです。
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