住み替えローンとは?利用時の注意点や各費用について!
2024/05/29
こちらの記事では、前回に引き続き住み替えローンを利用する際の注意点・発生する費用について解説していきます。
1:住み替えローンを利用するときの3つ注意点
住み替えローンを利用する際には、次の3つの注意点があります。
・ローン完済時の年齢には上限がある ・住宅ローンと住み替えローンは同じ銀行では組めない ・団信へ加入できずローンを組めないことがある |
①ローン完済時の年齢には上限がある
住み替えローンの完済時の年齢には、上限が設定されていることがあります。そのため、借り入れ前によく確認することが大切です。
メガバンク3行では以下のように年齢の上限が設定されています。
・みずほ銀行:満81歳未満 ・りそな銀行:満80歳未満 ・三井住友銀行:満80歳の誕生日まで |
上記のように、80歳を目安として完済時の年齢を設定していることがあります。例えば、完済時の年齢を満80歳未満としている住み替えローンで35年のローンを組みたい場合、44歳までに借り入れをすることになります。
借入時の年齢によっては返済期間が短くなることで毎月の返済負担が大きくなる可能性があります。定年退職後もローンの返済が続くことで、負担が重くなる場合も。借り入れをする際には完済時の年齢を踏まえ、無理なく返済できるかを検討しましょう。
②住宅ローンと住み替えローンは同じ銀行では組めない
住み替えローンは、基本的に住宅ローンと同じ銀行では組めません。
住宅ローン借入時よりも金利が下がった場合、借り換えられると銀行側の利息収入が減少してしまうからです。この場合、銀行側にはメリットがないため住み替えローンに限らず同じ銀行での借り換えは基本的できません。
別の銀行で住み替えローンを組む際には、各銀行のプランの詳細や手続き方法などをよく確認しましょう。住み替えローンの審査は通常の住宅ローンより厳しい傾向にあるので、事前に条件面などを確認して対策しましょう。
③団信へ加入できずローンを組めないことがある
住み替えローンを組むには、団信(団体信用生命保険)への加入を必須とする銀行があります。団信とは、住宅ローンの返済期間中にローンの借主にもしものことがあった場合にローンの返済が免除される保険のことです。団信に加入できれば、借主が亡くなったり働けなくなったりしたとしても、家族が返済義務を負わずに済みます。
しかし、持病などの健康状態によっては団信に加入できず、住み替えローンを借りられないことがあります。団信に加入できなかった場合には、各行が提供する「ワイド団信」や配偶者名義の契約を検討する必要があるでしょう。
ワイド団信は、団信の加入条件が緩和されて加入しやすくなったものです。ただし、ワイド団信の審査基準は明確に示されておらず、実際に申し込みをしてみないと加入の可否はわかりません。さらに、通常の団信よりも保険料が高くなるなどのデメリットもあります。
3:住み替えローンの返済シュミレーション
住み替えローンを利用する場合、具体的にどのくらい費用が発生していくら借り入れが必要となるのでしょうか。必要となる費用の洗い出しや具体的な条件をもとに、「住み替え資金計画シミュレーション|三井住友銀行」等の金融機関のサービスを利用してイメージをつかみましょう。
4:住み替えにかかる費用
住み替えローンのシミュレーションをする前に、現在の経済状況や住み替えにかかる費用を整理しておきましょう。
《旧居の売却時に確認しておきたい資金・費用》
項目 | 内容 | |
ローン残債や預貯金 | ローンだけでなく預貯金も調べて、自己資金としていくら捻出できるか確認しておく | |
|
一括査定サービスなどを利用して、いくらで売却できるか見込みを立てる | |
売却時の諸費用 | 売却時の諸費用は4~6%。内訳は仲介手数料や印紙税・固定資産税、登記費用、金融機関への事務手数料など | |
引っ越し代 | 家族が多い場合やオンシーズンだと、費用が高めになるので必ず確保しておく | |
仮住まい代 | 売り先行の場合、必要になる可能性がある |
《新居の購入時に確認しておきたい資金・費用》
項目 | 内容 | |
|
新居の購入にいくらかけられるかは、旧居の売却価格で決まる為一括査定サービス等を利用して見通しを立てておく | |
購入時の諸費用 | 新築の場合は5~7%、中古物件の場合は8~10%の諸費用が購入時にかかるとされている。内訳は、売却時と同様に仲介手数料や各種税金など | |
火災保険・地震保険料 | マンション、一戸建てを問わず、住宅購入の際には必ず加入しておきたい保険。 |
費用面については、将来に向けた貯金を含めて、十分に考慮しておきましょう。
5:住み替えローンのシュミレーション
必要な費用を確認ところで、以下の条件にそって、シミュレーションをしていきましょう。
《住み替えの条件》
年収(額面) | 700万円 |
年齢 | 43歳 |
自己資金 | 200万円 |
旧居のローン残債 | 2,500万円 |
旧居の売却見込み額 | 2,100万円 |
新居(新築)の購入予定額 | 3,000万円 |
返却期間 | 35年 |
金融機関の金利 | 2.0% |
国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告」によると、住み替え住宅の取得年齢層は分譲戸建て住宅では40代が多く、マンションや注文住宅への住み替えは60歳以上が多いとされています。
自己資金は購入資金の1割前後であることが望ましいのですが、自己資金ゼロのフルローンを利用できる金融機関は増えています。
以上の条件をもとに、住み替えに必要な費用や融資額をシミュレーションしていきましょう。
《住み替えに必要な金額》
売却の諸費用(4%で算出) | 84万円 |
購入の諸費用(5%で算出) | 150万円 |
旧居のローン残債 | 2,500万円 |
新居の購入予定額 | 3,000万円 |
旧居の売却見込み額 | 2,100万円 |
新居(新築)の購入予定額 | 3,000万円 |
合計 | 5,734万円 |
さらに、住み替えに必要な金額から、旧居を売却して得られる金額と自己資金を差し引きます。
5,734万円-(売却見込み額2,100万円+自己資金200万円) =3,434万円 |
以上の計算から、必要な資金は3,434万円と算出されます。
6:住み替えローンは返済比率に注意しよう
各金融機関では無理のない返済ができるよう、年収に占める住宅ローンの比率に制限を設けています。この割合を返済比率といい、一般的には「年収に対して20%以内に収めるとよい」とされています。
返済比率は、以下の計算式で求められます。
返済比率 = 年間返済額 ÷ 額面年収 |
前章の条件とシミュレーションをもとに
【1】返済総額→【2】年間返済額→【3】返済比率 |
の順に算出していきます。なお、金融機関の金利は2%固定で元利均等法、端数切捨てとします。
【1】返済総額:必要資金3,434万円×金利2%=返済総額4,777万円 【2】年間返済額:総額4,777万円÷期間35年=年間返済額136万円 【3】返済比率:年間返済額136万÷年収700万円=返済比率19.42% |
住み替えローンでは、旧居と新居両方のローンの合計額を借り入れるため金額が大きくなりがちです。借り過ぎには注意して、インフレによる生活費・教育費・老後に必要となる資金の上昇が起きても、無理なく返済できるようにローンを組みましょう。
まとめ
ここまでで3章にわたり「住み替えローン」について解説させて頂きました。これからローンを組む予定の方・可能性のある方も、ますは住み替えローンについて詳しく知ることが第一歩です。
この記事がお役に立てたら幸いです。
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