相続による不動産売却③[伊丹市/池田市/宝塚市/箕面市/豊中市]
2024/05/24
こんにちは、アークエステートです。
本日は、前回お伝えした【相続した不動産を売却する際の注意点】について詳細を説明させて頂きます。
1:スムーズに高く売ってくれる不動産会社を探す
相続した不動産を売却するには、スムーズに高く売ってくれる不動産会社を探すことが一番の注意点です。
相続した不動産は、「相続税の納税」や「特例を使える時期」に期限があります。期限内にスムーズに売却するためには、売却に慣れた不動産会社に依頼することが重要です。ただ、不動産会社には「賃貸仲介が主業」であったり、マンションの売買だけを重点的に行うなど、会社によりかなり特性が異なるのでどの会社が相続不動産の売却に強いのか、見抜くことは極めて困難といえるでしょう。
2:共有名義の売却は全員の同意が必要となる
共有名義の不動産の売却は共有者全員の同意が必要となる点が注意点です。
共有者全員の同意でポイントとなるのは、「売ること自体の同意」と「価格の同意」になります。
売ること自体に全員の同意が取れたら、次に問題になるのが価格の同意です。価格の同意を得るには、共有者全員で最低売却価格を決めておくことが重要となります。
最低売却価格とは、「いくら以上なら売る」という売却の最低ラインのことです。
最低売却価格を決めておくと、例えば購入希望者から値引き要請があった場合、スムーズに意思決定がしやすくなります。複数の査定結果の中には低めの価格も出てきますので、一番低い価格を参考にしながら最低売却価格を決めておきましょう。
3:単独登記型は贈与にならないようにする
単独登記型による売却は贈与にならないようにすることが注意点です。
不動産を売却して現金で分割する換価分割には、共同登記型と単独登記型の2種類があります。
共同登記型とは、一旦、不動産を共有で持ち、共有のまま売却する方法のことです。分割の仕方としては、法定相続を選択することになります。それに対して、単独登記型とは、一旦、不動産を特定の相続人が単独所有し、特定の相続人が売却した後、そのお金を他の相続人に分配する方法のことです。
分割の仕方としては、遺産分割協議を選択することになります。
共同登記型では、共有物件の売却となるため、売買契約時に原則として共有者全員の立会いが必要です。
そのため、例えば相続人の1人が海外に住んでいる場合などは、共同登記型では不都合が生じます。
一方で、単独登記型では、単独所有物件の売却となるため、所有者本人だけで売却手続きを進めることが可能です。
意思決定もスムーズであり、相続人が遠方に分散している場合には単独登記型はメリットがあります。ただし、何も対策をせずに単独登記型で売却すると、所有者が受け取った現金を他の相続人に配分する行為が贈与とみなされてしまいます。そこで、単独登記型でお金の配分が贈与とみなされないようにするには、遺産分割協議書に換価分割目的で遺産を取得することを明記しておくことが必要です。単独登記型を選択する場合には、遺産分割協議の時点で「売却方法と分割方法」をセットで決めるようにしてください。
4:親の家に住む場合と住まない場合では税金特例が異なる
親の家に住む場合と住まない場合は税金特例が異なる点が注意点です。
相続した親の家に相続人(売主となる子供など)が住むと利用しやすい複数の特例があるため、売却時の税金を節税しやすくなります。それに対して、相続した親の家に相続人が住まないと利用しにくい特例しかないため、売却時の税金が節税しにくいという特徴があります。
親の家に引き続き子供が住み、その家を売却する場合の扱いはマイホームの売却と同じです。
マイホームの売却は、なるべく税金を発生させないようにする政策的な配慮があり、利用しやすい複数の節税特例が用意されています。
5:売却期限は3年以内が目安となる
相続した不動産の売却期限は3年以内が目安となるという点が注意点です。
理由としては、相続不動産で利用できる2つの特例の期限は、主として3年を目安としているからです。
それぞれ特例の適用期限は下表の通りです。
特例 | 適用期限 |
取得費加算の特例 | 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却(相続開始のあった日の翌日から3年10ヶ月以内) |
相続空き家の3,000万円特別控除 | 相続の開始のあった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却 |
上記の2つの特例の期限は若干の差があり、いずれも3年を少し過ぎても間に合います。
ただし、不動産の売却には名義変更から引渡まで半年以上の時間がかかります。
3年を過ぎたらすぐに期限が到来してしまいますので、まずは3年以内を目指して売却することがポイントです。
取得費加算の特例を利用するには、以下の要件を満たすことが必要となります。
1, 相続や遺贈により財産を取得した者であること。 2, その財産を取得した人に相続税が課税されていること。 3, その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の 翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。 |
最大のポイントは、利用できる人が「相続税が課税されていること」という点です。
相続税が課税されている人は少ないので、取得費加算の特例はなかなか利用できない特例となっています。
また、相続空き家の3,000万円特別控除が利用できる家屋の主な要件は、以下の通りです。
1, 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること 2, 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること 3, 区分所有建築物(マンション等)以外の家屋であること 4, 相続の開始直前においてその被相続人以外に居住していた者がいなかったこと 5, 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用または居住の用に供されたことがない 6, 家屋を取り壊さずに売る場合売却時に、その家屋が現行の耐震基準を満たしていること 7, 相続の開始があった日以後3年経過する日の属する年の12月31日までに売却すること |
ポイントとしては、「昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること」と「区分所有建築物(マンション等)以外の家屋であること」の2点です。
「昭和56年5月31日以前に建築された家屋」しか利用できないため、それ以外の建物は利用できないことになります。
相続空き家の3,000万円特別控除を利用するにあたっては、「耐震リフォームをしてから売却する」のと「取り壊してから売却する」という2つのルートがあるという点がポイントです。
6:相続不動産の取得費は親の購入額を引き継ぐ
相続不動産の取得費は親の購入額を引き継ぐという点が注意点です。
個人が不動産を売却したときは、譲渡所得を計算します。譲渡所得とは、以下の計算式で求められる売却益のことです。
譲渡所得 = 譲渡価額※1 - 取得費※2 - 譲渡費用※3 |
※1譲渡価額とは売却価額です。
※2取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。
※3譲渡費用は、仲介手数料や印紙税など、売却に要した費用のことを指します。
上記の計算式の中で「取得費」というものが登場します。
取得費とは、親が購入した不動産の額です。
土地については購入額をそのまま用い、建物については購入額から減価償却費を控除した価額を取得費とします。
取得費 = 土地取得費 + 建物取得費 = 土地購入額 + (建物購入額 - 減価償却費) |
相続した不動産を売却するには、まずは親が不動産を購入した時点の売買契約書を探し出すことから始めましょう。
7:所有期間は親の購入日を引き継ぐ
相続不動産の所有期間は親の購入日を引き継ぐというのが注意点です。
譲渡所得が発生した場合、税金は譲渡所得に税率を乗じて求められます。
税金 = 譲渡所得 × 税率 |
税率は、所有期間によって異なります。
売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超のときは「長期譲渡所得」、1月1日時点において所有期間が5年以下のときは「短期譲渡所得」と呼ばれます。
長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は以下の通りです。
所得の種類 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%を乗じます。
税率は長く所有している長期譲渡所得の方が低く、節税できるという点がポイントです。
所有期間は親の所有期間を引き継ぎますので、例えば親が既に5年超の所有期間を有していれば、相続後、すぐに売却しても長期譲渡所得の税率が適用されることになります。
8:取得費が不明の場合は代替資料を探す
取得費が不明の場合は代替資料を探すことが注意点です。
取得費が不明な場合には、概算取得費というものを用います。概算取得費とは「譲渡価額の5%」です。
概算取得費を用いてしまうと、取得費が小さくなってしまうため、譲渡所得が大きく計算されてしまいます。
そのため、概算取得費を用いてしまうと、税金が高くなってしまうのです。
取得費が不明な相続不動産の売却で節税するには、取得費を証明する代替となる資料を探すようにします。
取得費の代替になる資料とは、主に以下のようなものが挙げられます。
《取得費の代替になる資料》
・新築物件の場合、当時の販売ディベロッパーから購入当時の売買契約書の写しをもらう ・当時仲介してくれた不動産会社や売主から購入当時の売買契約書の写しをもらう ・通帳の出金履歴から購入額を推測する ・住宅ローンの金銭消費貸借契約書から購入額を推測する ・抵当権設定額から購入額を推測する ・一般財団法人日本不動産研究所が公表している市街地価格指数から土地の取得費を算定する ・一般財団法人建設物価調査会が公表している着工建築物構造別単価から建物の取得費を算定する |
まとめ
以上で「相続した不動産の売却」について、基本知識を解説してきました。
相続した不動産の売却では、納税や売却で利用できる特例に期限があります。
また、名義変更に必要な書類は、法定相続や遺産分割協議による分割等の分割の仕方によって若干異なります。
それぞれのケースにあわせて、確認と準備を進めるように意識しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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株式会社アークエステート
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