持ち家があっても生活保護は受給できる?[兵庫県伊丹市]
2024/08/30
こんにちは、アークエステートです!
本日のテーマは「持ち家があっても生活保護は受給できるのか?」です。「生活保護」とは、生活に困窮している方の自立をサポートするため、国が経済的に援助する制度です。持ち家があっても受給できる可能性はありますが、そのためには厳しい受給要件をクリアしなければなりません。
この記事では、持ち家と生活保護の関連性や受給要件、持ち家の売却を求められるケースについて解説します。
1:持ち家がある場合にも、生活保護は受けられる?
戸建て住宅やマンションなど、種別を問わず持ち家がある場合は、原則として生活保護の支給対象から外れるので、援助を受けることはできません。
ただし、以下の要件を満たしていれば、特別に受給できる可能性があります。
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厚生労働省が実施した調査によると、2021年度(令和3年度)には、161万7,578世帯が生活保護を受給しており、そのうち4万6,887世帯が持ち家を保有しています。これは全体の3%弱です。
3%弱というと少なく感じるかもしれませんが、持ち家ありで生活保護を受給している世帯は、5万世帯近くあるということになります。
①そもそも生活保護とは?
生活保護とは、何らかの理由で生活に困窮している方に対し、憲法で規定された「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立した生活を送れるよう国から生活費や住宅費などを援助する制度です。この制度の目的や要件は、生活保護法に基づいて定められています。
すべての国民は生活保護を申請できる権利を有するので、一定の受給要件さえ満たせば、年齢や性別を問わず誰でも受給できます。ホームレス(路上生活者)やネットカフェ難民と呼ばれるような住所がない方でも申請できるため、生活の立て直しを図ることが可能です。
生活保護を受給したい場合は、資産・能力・その他のあらゆるものを「生活の維持」のために活用する必要があります。また、世帯単位で支給されるので、生計を同一にしている家族全員が受給要件を満たさなければなりません。
なお、生活保護の申請手続きは、各自治体にある福祉事務所の窓口で行ないます。
②生活保護費の内訳
生活保護費の内訳は、以下のとおりです。
費用の概要 | 扶助の種類 | 支給内容 |
日常生活に必要な費用 | 生活扶助 | 以下を合算して算出 ● 食費等の個人的費用 ● 光熱水費等の世帯共通費用 ※特定の世帯(母子家庭等)には加算あり |
アパート等の家賃 | 住宅扶助 | 一定の範囲内で実費を支給 (共益費等は生活扶助に該当) |
義務教育を受けるために必要な学用品費 | 教育扶助 | 一定の基準額を支給 |
医療サービスの費用 | 医療扶助 | 医療機関に直接支払う (本人負担なし) |
介護サービスの費用 | 介護扶助 | 介護事業者に直接支払う (本人負担なし) |
出産費用 | 出産扶助 | 一定の範囲内で実費を支給 |
就労に必要な技能の修得等にかかる費用 | 生業扶助 | |
葬祭費用 | 葬祭扶助 |
2:生活保護の受給要件
生活保護を受給するには、「世帯収入が最低生活費を下回っている」ことが前提です。最低生活費とは、健康で文化的な最低限度の生活を送るうえで、厚生労働大臣が規定する基準をベースに算出された費用のことです。金額設定は自治体によって異なりますが、東京23区の一人暮らし世帯なら約13万円となっています。
生活保護は、働けない方向けのセーフティーネットというイメージがあるかもしれませんが、実際は働いている方でも受給可能です。ただし、毎月の給料が最低生活費を下回っている場合に限り、給料を差し引いた分が支給されます。
また、給料以外の世帯収入の例は、以下のとおりです。
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世帯収入をすべて合計しても最低生活費に満たない場合、要件を一つクリアしたことになります。あくまで前提なので、プラスで以下の要件も満たすことが必要です。
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これらの要件も満たせば、生活保護を受給できるようになります。
①資産を持っていない
受給要件に関わる資産とは、以下のようなものです。
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該当する資産を所有している場合は、原則として生活保護を受給できません。このような資産はすぐに活用(現金化)しやすい性質上、売却することで生活費を工面できる可能性があるためです。
福祉事務所で申請すると、後日ケースワーカーによる調査が行なわれます。その際、生活に不要な資産が残っていると、売却して生活費に充てるよう指導されるでしょう。
ただし、生活を送るうえで必要と判断された場合は、資産の所有が認められるケースもあります。持ち家以外に住む場所がない方に持ち家の売却を求めると、生活困窮者の自立をサポートするという本来の目的から外れてしまうからです。
②働くことができない
病気・ケガ・障がいのほか、育児や介護などが理由で働きたくても働けない方は、生活保護の支給対象となります。一方、働く能力があって就業できるにも関わらず働いていない方は対象外です。
また、病気やケガで受給している方であっても、それが完治して働ける状態になったら、ケースワーカーから就業するよう求められます。もし就業意思を見せなかった場合、生活保護が打ち切りになる可能性が高いです。
働けないことを証明するには、診断書や障害者手帳を提示するとスムーズでしょう。診断書の発行には費用がかかるため、病院の領収書などで代用するのも一案です。
③ほかの公的制度を利用できない
生活を支援する公的制度は、生活保護以外にも数多く存在します。
制度名 | 概要 |
傷病手当金 | 病気やケガで働けなくなった方に支給 |
障害年金 | 障がいで生活や就業が難しくなった方に支給 |
遺族年金 | 年金加入者が死亡した際、その家族に支給 |
失業保険 | 会社を退職した方に期限付きで支給 |
労災保険 |
就業時のトラブルによる病気やケガで 働けなくなった方に支給 |
生活福祉資金貸付制度 |
低所得者や障がい者、65歳以上の高齢者が属する世帯に 生活支援費や住宅入居費などを貸し付ける |
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度 | ひとり親に生活資金や修学資金を貸し付ける |
上記の公的制度を利用できない場合や、利用しても世帯収入が最低生活費に満たない場合は、生活保護を受給できるようになります。
④支援してくれる身内がいない
同居していない家族や親戚から支援を受けることができる場合は、そちらが生活保護より優先されるので、支給対象から外れます。民法でも直系血族・兄弟姉妹は互いに扶養することが義務付けられているため、ケースワーカーの調査でも確認されるポイントです。
逆に、支援してくれる身内がいない、あるいは身内に扶養する意思がない場合、生活保護の受給が認められます。ケースワーカーは直系血族・兄弟姉妹に対して扶養の可否を確認しますが、実際に扶養するかどうかは支援側の任意です。
また、身内から虐待やDVを受けたことで別居し、現住所を知られたくない場合は、ケースワーカーなどの担当者に相談しましょう。事情を伝えることで、該当の人物への連絡や調査を避けられます。
3:生活保護のために持ち家の売却が求められるケースとは?
生活保護の受給にあたり、以下のようなケースに当てはまる場合は、持ち家の売却を求められる可能性があります。
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受給可否に関わるポイントなので、きちんと押さえておきましょう。
①持ち家に住んでいない
持ち家は活用できる資産なので、生活保護を受給する際は売却を求められるのが原則です。特に、住居が別にあって持ち家に住んでいない場合、生活できない状況にはなりにくいので、生活保護の目的から考えても支給の必要性はないと判断されます。
また、持ち家に住んでいる状況で実家を相続した場合、受給前に実家の売却を求められるケースが一般的です。しかし、実家の築年数が古かったり、立地条件が悪かったりすると、すぐに売却できない可能性もあります。売却できなくても受給できるケースはあるので、困ったら福祉事務所に相談することをおすすめします。
②住宅ローンが残っている
持ち家の住宅ローンが残っている場合、生活保護は原則受給できません。支給した生活保護費が返済に充てられた場合、結果的に税金で資産形成をサポートする形になってしまうためです。
ただし、ローンの残高が300万円程度以下と少ない、残り短い期間(5年以内)でローンの返済が終わる見込みである、といった場合には、例外的に売却を求められない可能性もあります。
残債や残りの返済期間など、ケースによって結果が異なるので、支給を受ける自治体の窓口に事前に確認するようにしましょう。
③資産価値が高い
利用価値より資産価値のほうが高い場合は、居住用に使っている持ち家でも売却を求められる可能性があります。その資産価値を活かせば、生活費を工面して新たな住居も確保できると判断されるためです。
厚生労働省の指針によれば、標準3人世帯の生活扶助基準額に対し、住宅扶助特別基準額を加えた金額の約10年分(2,000万円程度)が、売却を検討する目安となります。
また、一人か二人暮らし世帯で4LDKの広い持ち家に住むなど、同居人数に対して住居の規模が明らかに見合わない場合も指導が入ります。
まとめ
生活保護は、世帯収入が少ない方や病気・ケガなどで働けない方に対し、国から経済的な援助を行なう制度です。憲法で規定された「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立した生活を送れるようサポートすることが目的です。
持ち家があっても「売却価格が極端に低い」「賃貸物件への住み替えができない」といった事情を抱えている場合は、生活保護を受給できる可能性があります。
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