徒歩所要時間の表示とは?[兵庫県伊丹市]
2024/08/28
こんにちは、アークエステートです!
本日のテーマは「徒歩所要時間の表示」について。徒歩所要時間とは、物件から主要施設までにかかる所要時間のことで、表示規約に基づいて、「80m=徒歩1分」で算出されます。表示規約は2022年(令和4年)に改正され、徒歩所要時間の表示方法が変更になりました。
この記事では、徒歩所要時間の概要や、実際の所要時間とずれる理由、表示規約の改正に伴う変更点について解説します。
1:不動産広告における徒歩所要時間とは?
はじめに、徒歩所要時間の概要として、下記3つのポイントを解説します。
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①徒歩所要時間の表示とは?
「徒歩所要時間の表示」とは、不動産広告に記載される、物件の所在地から主要施設までの所要時間のことです。「◯◯駅まで徒歩5分」といった表示が、これに該当します。
徒歩所要時間の表示に用いられる主要施設には、以下のようなものがあります。
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②徒歩所要時間を算出する基本的なルール
徒歩所要時間は、道路距離80mを徒歩1分として算出します。
道路距離80m未満の場合は、切り上げて1分とする決まりです。つまり、主要施設が目と鼻の先にあったとしても、徒歩0分ではなく徒歩1分と表示しなければなりません。
例えば、物件から駅までの道路距離が760mだった場合は下記となります。
760m÷80=9.5 → 10分 |
なお、道路距離とは、実際の道路に沿って測定した距離で、直線距離とは異なります。交通量が多いエリアで横断歩道がない場合は、歩道橋や地下道の距離をもとに徒歩所要時間を算出します。
ただし、信号や踏切の待ち時間、坂道などは、徒歩所要時間に考慮しなくてよいとされています。
③不動産広告における表示規約とは?
不動産広告の表示規約とは、不動産会社が守るべき広告のルールであり、所要時間のほかに面積などの表示基準を定めたものです。正式には「不動産の表示に関する公正競争規約」といい、不動産業界では「公取規約」や「広告規約」と呼ばれることもあります。
徒歩所要時間を算出する「80m=徒歩1分」の根拠は、「不動産の表示に関する公正競争規約」の施行規則第9条によるものです。
徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。 |
なお、不動産広告の表示規約は、「不動産公正取引協議会連合会」が策定します。不動産公正取引協議会連合会とは、不動産広告を適正化させるため、業界が守るべきルールを自主的に策定する団体で、全国9地区の不動産公正取引協議会を会員としています。
不動産公正取引協議会連合会を通して決められたルールは、公正取引委員会と消費者庁の認定を受けたうえで、表示規約として運用されます。そして、表示規約が不動産業界の実情と見合っていない場合や、消費者の不利益になっている場合は、規約の改正が行われます。
表示規約に違反する不動産広告の監視、警告は、各地域の不動産公正取引協議会が実施します。
2:広告の所要時間と実際の所要時間がずれる理由
前述のとおり、不動産広告の徒歩所要時間は「80m=徒歩1分」で算出されます。ただし、広告の徒歩所要時間と実際に歩いたときの所要時間が、一致しないケースも少なくありません。
不動産広告の徒歩所要時間と、実際に歩いたときの所要時間にずれが生じる主な理由としては、以下のような事情が挙げられます。
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不動産の購入を検討する際には、徒歩所要時間はあくまでも目安と捉え、現地を実際に歩いてみることをおすすめします。
3:2022年(令和4年)、所要時間の表示の規則が変更された
2022年(令和4年)9月1日より、「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」および「表示規約施行規則」の改正案が施行されました。主な内容は以下のとおりです。
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それぞれについて詳しく解説します。
①分譲住宅の出入口を徒歩所要時間の起点とする
マンションなどの分譲住宅で徒歩所要時間を算出する際、改正前は主要施設から最も近い敷地までの距離を用いて算出していました。しかし、表示規約改正に伴い、分譲住宅の「出入口」を起点に徒歩所要時間を算出することになりました。
なお、出入口が2ヵ所あるマンションでは、メインエントランスではなく、サブエントランスを起点とすることも可能です。
下記の図のように、出入口の起点が変われば、徒歩所要時間が大きく異なる場合もあるのです。
②分譲住宅の区画や棟で徒歩所要時間を記載する
複数の住戸がある分譲マンションなどの場合、従来は主要施設に最も近い住戸からの徒歩所要時間を算出していました。
しかし、改正後は主要施設に最も近い住戸、および最も遠い住戸を起点として徒歩所要時間を表示することになりました。
最短と最長の徒歩所要時間を記載する理由は、複数の棟や区画がある団地・マンションでは、住戸の位置で徒歩所要時間が大きく異なるためです。
実際の不動産広告では、以下のように徒歩所要時間に幅を持たせるかたちで記載されるため、改正後はより実態に近づいたといえます。
<記載例> ○○駅まで徒歩3分から8分 |
③通勤ラッシュ時と平常時の所要時間を併記する
従来の表示規約では、公共交通機関の通勤ラッシュ時における所要時間が、「平常時を著しく超える場合」に、通勤ラッシュ時の時間を表示していました。
しかし、表示規約の改正に伴い、通勤ラッシュ時の所要時間を明示し、平常時の所要時間を併記することになりました。
<記載例> A駅からB駅まで通勤急行で30分 ※平常時は急行で20分 |
④電車の乗り換え時間を所要時間に含める
表示規約の改正に伴い、電車の乗り換えにかかる時間も所要時間としてカウントすることになりました。乗り換え時間とは、ホームを移動する時間に加え、電車の待ち時間も含みます。
不動産広告における乗り換え時間は、以下のように記載します。
<記載例> 最寄りのA駅からC駅まで18分~20分 ※B駅で○○線に乗り換え ※上記の所要時間には乗り換え、待ち時間が含まれます |
なお、乗り換え時間を所要時間に含める理由は、近年、インターネットの乗り換え案内サイトが広く普及したことが影響していると考えられます。乗り換え案内サイトの所要時間には、ホームの移動時間と待ち時間が含まれ、かつ所要時間が容易に算出できます。
⑤物件からバス停、駅までの所要時間を表示する
表示規約の改正に伴い、物件から最寄り駅までバスを利用する場合は、バス停の名称のほか、物件からバス停までの徒歩所要時間と、バス停から最寄り駅に向かうバスの所要時間を記載することになりました。
行きと帰りでバス停の位置が異なっていたり、循環バスのように経路が異なっていたりすると、所要時間も異なるため、表示規約改正後は、物件を起点とするバス停までの徒歩所要時間と、バス停を起点とする駅までのバスの所要時間を記載します。
ただし、バス停から駅までの所要時間に関しては、徒歩のように「○m=1分」という基準はありません。
<記載例> A停留所まで徒歩3分 A停留所からB駅までバスで10分 |
なお、主要施設までバスのみを利用する場合は、最寄りのバス停の名称と、物件からバス停までの徒歩所要時間を表示します。
まとめ
不動産広告に記載される徒歩所要時間は、表示規約で定められたルールである「80m=徒歩1分」から算出されます。しかし、実態に見合わない部分があったことから、2022年(令和4年)9月1日、表示規約の改正案が施行されました。
今後は、物件の出入口を起点にする、乗り換え時間も考慮されるなど、より実態に近い所要時間の記載になるでしょう。
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