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地役権とは?[兵庫県伊丹市]

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地役権とは?[兵庫県伊丹市]

地役権とは?[兵庫県伊丹市]

2024/08/22

こんにちは、アークエステートです!

本日のテーマは「地役権」について。地役権(ちえきけん)とは、通行や送電設備の敷設などを目的に設定される、他人の土地を自分のために利用する権利のことです。土地の所有者とのトラブルを防ぐため、地役権は設定登記をしなければなりません。

この記事では、地役権の主な目的のほか、地上権や囲繞地通行権との違い、登記の申請方法、注意点などについて解説します。

 

 

1:地役権とは?

はじめに、地役権の概要や地役権を設定する目的について解説します。

 

 

①地役権はどのような権利?

地役権とは、一定の目的の範囲で、他人の土地を自身の土地のために利用できる権利のことです。地役権については、民法で定められています。

 

具体的には、公道に出るために他人の土地を通行する、高圧送電線の安全を確保するために建物の高さを制限する、といった目的で設定されるケースが多いです。

 

なお、地役権の設定において、地役権のメリットを享受する側の土地を「要役地(ようえきち)」、一部使用を許可する側の土地を「承役地(しょうえきち)」、と呼びます。地役権は、要役地所有者と承役地所有者の合意に基づいて設定されます。

 

参考:“民法第二百八十条”. e-Gov法令検索

 

 

②地役権を設定する主な目的

地役権を設定する主な目的は、以下のとおりです。

 

  1. 他人の土地を通行するため
  2. 送電設備を設置するため
  3. 排水管を埋めるため
  4. 日照・眺望を確保するため

 

 

《他人の土地を通行するため》

他人の土地を通らないと公道に出られない、その土地を通るほうが駅に近い場合などに、他人の土地を通行するための地役権(通行地役権)を設定するケースは少なくありません。

 

通行地役権の設定では、要役地と承役地が隣接していることが前提です。法律上では無償が原則ですが、契約の内容によっては、対価として要役地所有者が承役地所有者に通行料を支払うケースもあります。

 

参考:“民法第二百八十条”. e-Gov法令検索

 

《送電設備を設置するため》

 

高圧電流を流す送電設備や鉄塔を設置する際に、高圧線の下にある土地に「送電線路敷設地役権」を設定することもあります。

 

地役権を設定するのは、送電設備を設置・管理する電力会社です。電力会社が地役権を設定する理由は、高圧送電線と建物の間に一定の距離を置き、電線を通過する土地の安全を確保するためです。

 

なお、先に紹介した通行地役権の設定では、要役地と承役地が隣接しているのが前提ですが、送電線路敷設地役権では、要役地と承役地が離れているケースも少なくありません。

 

《排水管を埋めるため》

上下水道やガスなどを住宅に供給する際に、自身が所有する土地だけでは本管に接続できない場合があります。

このような事情から、本管から接続する導管を他人の土地に埋め込む必要があるときにも、地役権を設定します。

 

なお、この場合にも、送電設備と同様に、ガスや上下水道の事業者が地役権を設定します。

 

《日照・眺望を確保するため》

自分の建物の日当たりや眺望を確保するために、「眺望地役権」を設定するケースもあります。

 

眺望地役権では、承役地で建てられる建物の高さを制限します。当事者間の合意に基づいて設定するため、高さ制限のほかに工作物を設置しないなど自由な取り決めが可能です。

 

 

2:地役権と類似する権利との違い

ここでは、地役権と混同されやすい、地上権と囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)の違いについて解説します。

 

 

①地役権と地上権の違い

地上権とは、建物を建築するといった目的で、他人の土地を利用できる権利のことです。

 

地上権は土地の上に設置した「物」を利用できる権利であり、「他人の土地」を利用する権利を意味する地役権とは、根本的に異なります。

地役権と地上権の違いを、地代の支払い、存続期間、物権的請求権、抵当権の設定の観点からまとめました。

 

条件 地上権 地役権
地代の支払い 任意 任意
存続期間 永久可能 永久可能
物権的請求権 返還請求権 ×
妨害排除請求権(※1)
妨害予防請求権(※2)
抵当権の設定 可能 不可

 

(※1)該当の土地の権利を不法に侵害している者に対して、権利者が排除を請求する権利

(※2)該当の土地の権利が妨害される恐れがある場合に、権利者がその妨害の予防を請求する権利

 

 

②通行地役権と囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)の違い

囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)とは、袋地の土地の所有者が、周りを囲む土地を通行できる権利のことです。

 

袋地とは、周囲が他人の土地に囲まれていて、公道に面していない土地のことで、囲繞地は、その袋地を囲む土地のことを指します。

 

囲繞地通行権は、他人の土地を通らないと公道に出られない、袋地の所有者だけに設定される権利です。

通行地役権と囲繞地通行権における、具体的な違いは以下のとおりです。

 

   囲繞地通行権 通行地役権
通行範囲

囲繞地の所有者に最も

損害を与えない範囲

当事者間の合意で

自由に決められる

存続期間 期間の制限なし 当事者間の合意による
登記 不要 必要
(第三者への対抗要件が必要な場合)
通行料 原則必要 当事者間の合意による

参考:
“民法第二百十条”. e-Gov法令検索
“民法第二百十一条”. e-Gov法令検索
“民法第二百十二条”. e-Gov法令検索
“民法第二百十三条”. e-Gov法令検索

 

 

3:地役権を設定するには登記が必要

他人の土地を利用する際には、トラブル防止のために地役権設定登記をすることをおすすめします。本章では、地役権設定登記の必要性、登記の申請方法について解説します。

 

 

①地役権を登記したほうがいい理由

地役権を登記する最大の目的は、土地を利用する権利を第三者に主張することです。

 

実際に、「隣人の厚意」によって他人の土地を利用しており、登記をしていない事例は少なくありません。しかし、隣人が土地を手放して所有者が変わった場合、通行を禁止されるリスクも否定できません。

 

そこで、あらかじめ地役権を登記しておけば、所有者が変わったとしても、土地を利用する権利を法的に主張できます。

当事者間の合意は口約束でも成立しますが、念のため地役権を登記しておくほうが安心でしょう。

 

参考:“民法第百七十七条”. e-Gov法令検索

 

 

②地役権設定登記の申請方法

地役権を設定するのは、他人の土地で便益を受ける要役地の所有者です。

しかし、地役権設定登記は、要役地所有者と承役地所有者の合意のもと、共同で申請する必要があります。

 

地役権設定登記で登記する項目は、以下のとおりです。

 

  • 要役地
  • 地役権設定の目的
  • 地役権設定の範囲

 

また、地役権設定登記の申請で提出する書類は、以下のとおりです。

 

  • 登記原因証明情報(地役権設定契約書など)
  • 登記識別情報または登記済証
  • 承役地所有者の印鑑証明書
  • 地役権図面(承役地の一部に地役権を設定する場合のみ)

 

地役権設定登記は、承役地の所在地を管轄する法務局に申請します。

 

登記の申請は個人でも可能ですが、申請には専門知識が必要であるため、司法書士に依頼したほうがよいでしょう。司法書士に申請を依頼するときは、「代理権限証明情報(委任状)」の提出が必要です。代理権限証明情報は、代理人によって登記の申請を行なう際に申請情報と代理人の権限を証明する書類です。

 

参考:“不動産登記法第八十条”. e-Gov法令検索

 

 

4:地役権を設定した土地に関する注意点

最後に、自分の土地に地役権を設定する場合、または地役権がある土地を取得する場合の注意点について解説します。

 

 

①売買や相続をしても地役権が引き継がれる

地役権設定登記をした土地は、登記を抹消しない限り地役権が引き継がれます。つまり、要役地である自分の土地を売却した場合、新たな購入者に地役権が移転することになります。

 

一方、購入した土地が承役地であった場合、土地の利用が制限されるため、注意が必要です。せっかく購入した自身の土地を思うように使えない、といった事態も考えられます。

 

また、地役権設定登記がされていない土地を売買することで、要役地所有者と承役地所有者の間でトラブルに発展することも少なくないため、土地の購入を決める前に、不動産会社の担当者に地役権の有無を必ず確認しましょう。

 

 

②地役権には消滅時効がある

地役権の存続期間は、当事者間の取り決めで決めるのが基本です。しかし、地役権設定登記を実施したとしても、地役権を行使しないことで民法に基づく時効が適用されます。

 

地役権の消滅時効に関する規定は、以下のとおりです。

 

債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する

第百六十六条第二項に規定する消滅時効の期間は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を妨げる事実が生じた時から起算する

 

参考:
“民法第百六十六条”. e-Gov法令検索
“民法第二百九十一条”. e-Gov法令検索

 

地役権が時効で消滅するには、「継続的な地役権の行使が妨げられる事実」が必要です。通行地役権を例にすると、通行部分に建物が建つなど、事実上通行できないときに地役権が消滅します。

 

ただし、通行のために道路を舗装した場合などは、他人の土地を利用する権利を行使したものとみなされます。したがって、道路を20年間通行していなくても、地役権が時効で消滅することはありません。

 

 

③通行地役権の時効取得でトラブルが起きやすい

一定の条件を満たすと地役権は時効で消滅しますが、反対に、時効によって地役権を取得できることもあります。

 

時効取得とは、一定の年数にわたって継続的に土地を利用すると、時効により地役権を取得できる、というルールです。

 

具体的な年数に関しては、過失がなく善意の場合は10年、それ以外の場合には20年で地役権の取得が認められます。

例えば、以下の場合、Bさんの土地を通行のために継続的に利用していたAさんは、時効を迎えると、Bさんの土地の通行地役権を取得することができます。

 

つまり、地役権がない土地を購入したとしても、時効取得により土地が承役地となり、利用が制限されることもあるのです。購入した土地で地役権の時効取得が生じないよう、購入する前にしっかりと確認することが大切です。

 

しかし、土地の利用が制限される反面、以下のようなメリットを得られることもあります。

 

  • 土地の評価額が下がることで節税につながる
  • 当事者の合意があれば、交渉次第で使用料を受け取れる

 

参考:“民法第百六十二条”. e-Gov法令検索

 

 

まとめ

地役権は、自分の土地で便益を受けるために、他人の土地を利用する権利のことです。生活の利便性を向上させる目的で設定されますが、隣家とトラブルに発展するケースもあるため、必ず地役権設定登記を申請しましょう。

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