敷地延長とは?[兵庫県伊丹市]
2024/08/20
こんにちは、アークエステートです!
本日のテーマは「敷地延長」について。敷地延長とは、狭い通路を通って道路につながる形状の土地や、その通路部分のことを指します。敷地延長が生じる主な原因は、建築基準法に定められた接道義務にあるとされています。
この記事では、敷地延長の概要やメリット・デメリット、接道義務との関係、敷地延長にまつわる注意点などについて、わかりやすく解説します。
1:敷地延長とは?
敷地延長とは、狭い通路を通って道路につながる形状の土地や、その通路部分のことを指します。敷地延長は、敷延(しきえん)、路地状敷地(ろじじょうしきち)と呼ばれることもあります。
敷地延長では、道路から細い通路が延び、奥まった土地に建物を建てます。高い所から見たときに旗に似た形状をしているため、旗竿地(はたざおち)、旗地(はたち)と呼ばれるケースもあります。
2:敷地延長のメリット・デメリット
敷地延長は特殊な形状の土地であるため、通常の土地とは異なるメリット・デメリットがあります。敷地延長の主なメリット、デメリットは以下のとおりです。
敷地延長のメリット |
土地の価格が相場よりも安い 奥まった敷地に家を建てるため、プライバシーが保たれる 道路の騒音が届きにくく、静かな環境で暮らせる 道路に出るまで一定の距離があるため、子どもの飛び出しを防げる 通路を駐車スペースなどに活用できる |
敷地延長のデメリット |
周囲に建物があるため、日当たりや風通しが悪くなりやすい 通路が狭いと重機が通れず、建築のコストが高くなる インフラが届いておらず、引き込み工事が必要になるケースがある 通路の幅が2mほどしかないと駐車しにくい |
このように、敷地延長の土地にはデメリットもありますが、工夫次第で快適に暮らすことができます。少しでも安く土地を購入したい場合には、敷地延長も検討することをおすすめします。
3:敷地延長が発生する原因となる「接道義務」とは?
敷地延長のような形状の土地ができる要因には、建築基準法の「接道義務」が関係しています。
接道義務とは、建築基準法で定められた幅員4m以上の道路に沿い、かつ敷地の一辺に2m以上接しなければならない、という決まりのことです。接道義務は、都市計画区域内、または準都市計画区域内で建物を建てる際に適用されます。
なお、都市計画区域とは、都市として整備・開発・保全する地域のこと、準都市計画区域とは、将来的に市街化が見込まれる地域のことを指します。
また、接道義務における道路は、「建築基準法で定められた道路(原則、幅員4m以上)」であることが前提です。建築基準法第42条で定義する道路には、以下のものが挙げられます。
建築基準法種別 | 概要 |
42条1項 1号道路 |
道路法で定められた国道、都道府県別道、市町村道 (高速自動車道路は除く) |
42条1項 2号道路 |
都市計画法や土地区画整理法などに基づき 築造された道路 |
42条1項 3号道路 |
建築基準法施行前に存在する道路 |
42条1項 4号道路 |
道路法や都市計画法などにより、2年以内に 新設、事業計画に変更がある道路 |
42条1項 5号道路 |
建築基準法施行以降に土地の所有者が 築造した道路で、特定行政庁が位置を指定した 位置指定道路 |
42条2項道路 |
特定行政庁が指定、かつ建築基準法施行前から 存在する幅員4m未満の道路 (2項道路、みなし道路とも呼ばれる) |
4:敷地延長と位置指定道路の違い
位置指定道路とは、個人や民間の団体が管理する「私道」の一種です。建築基準法の道路である「42条1項5号道路」のように、特定行政庁から指定を受けた私道を位置指定道路といいます。
私道を位置指定道路に指定するのは、建築基準法の接道義務を果たすためです。くり返しになりますが、接道義務が果たせない土地には建物を建てられません。
公道に面していない土地に関しては、私道を位置指定道路に指定し、敷地が接することで接道義務を果たせるようになります。
一方、敷地延長の土地はあくまでも「宅地」であり、道路や私道とは異なります。
5:敷地延長の土地にまつわる注意点
以下に、敷地延長の土地を購入する際の注意点を解説します。
①接道する道路の幅員が「6m」の区域がある
通常の接道義務では、幅員が4m以上の道路に、2m以上接道することを義務付けています。ただし、特定行政庁の一部では、前面道路の幅員を「6m以上」とする区域もあるため、注意が必要です。※参考:“建築基準法第四十二条”. e-Gov法令検索
なお、特定行政庁とは、建築確認や違反建築物に対する是正命令などを行なう行政機関であり、建築主事(建築物の検査を専門的に行なう公務員)を置く市町村などの地方公共団体やその長を指します。人口25万人以上の地方公共団体においては、建築主事の任命が義務づけられています。※参考:“建築基準法第四条”. e-Gov法令検索
特定行政庁では、市街地環境の整備に必要と認められ、なおかつ都市計画地方審議会の同意を得られた場合には、接道義務で定められた道路の幅員を「6m」に変更できます。道路の幅員を広げることで、緊急車両の通行や、災害時の救助活動などがしやすくなります。
なお、6m指定区域の場合、道路の中心線から路地側に3m後退した線を、敷地と道路の「道路境界線」とします。
家を建てる土地の前面道路の幅員を調べるには、役所の建築指導課で図面を閲覧したり、不動産会社やハウスメーカーの担当者に聞いたりする方法があります。ただし、敷地延長の間口が2m以上接道しているかどうかは、実際に現地を調査しなければならないので注意しましょう。
②条例により敷地延長の幅員が異なることがある
建築基準法の規定では、幅員4m以上の道路に2m以上接すれば建物を建てることが可能です。ただし、地域の条例によっては、敷地延長の長さに応じて接道する幅員が異なることがあります。
例えば、東京都建築安全条例の第3条1項では、以下の条件で敷地延長(路地状敷地)の建築制限が設けられています。
敷地の路地状部分の長さ | 幅員 |
20m以下のもの | 2m(※1) |
20mを超えるもの | 3m(※2) |
(※1)耐火建築物および準耐火建築物以外の建築物で、延べ床面積が200平米を超える場合、幅員3m
(※2)耐火建築物および準耐火建築物以外の建築物で、延べ床面積が200平米を超える場合、幅員4m
敷地延長の通路が長いほど防災上の問題が生じやすいため、地域によっては規制が強化されます。東京都以外の地域でも、建築基準法の規定と条例の内容が異なるケースがあるので確認が必要です。
まとめ
建築基準法の接道義務を果たさないと建物が建てられないため、通路を道路に接道させる際に敷地延長の土地が生じます。敷地延長の土地を購入する際は、接道義務への理解を深め、地域の条例を確認しておくことが大切です。
敷地延長は相場よりも価格が安く、静かな環境で暮らせる反面、建築のコストが割高になり、日当たりや風通しが悪かったりすることがあります。メリット・デメリットを確認したうえで購入を検討しましょう。
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