木造建築の構造、工法とは?[兵庫県伊丹市]
2024/08/04
こんにちは、アークエステートです!
本日のテーマは「木造建築」について。建物の構造には、木造、鉄骨造、鉄筋鉄骨コンクリート造の3種類があり、木造住宅では主に3つの工法が用いられます。天然の木材を使用する木造建築ならではの特徴もあるため、ぜひこの機会に押さえておきましょう。
この記事では、木造建築の構造の種類、木造住宅の工法、木造建築のメリット・デメリットなどを解説します。
1:建築物の構造は、大きく分けて3種類
建物の構造は、木造、鉄骨造、鉄筋鉄骨コンクリート造に分類されます。
はじめに、各構造の仕組みや特徴について解説します。
①木造(W造)とは?
木造とは、柱や骨組みなどの主要な構造体に、木材を用いる構造のことです。W造のWは「Wood」の略称で、木造を意味します。日本では、古くから数多くの神社仏閣の建立に木造が採用され、やがてその技術は一般の住宅にも取り入れられるようになりました。令和になった現在でも、新築の低層住宅の8割以上が、木造で作られています。
木材は吸水性や吸湿性に優れており、四季があることで湿度が大きく変化する日本の風土に適しています。また、引っ張り・圧縮に対して強く、耐久性も高いのが木造の特徴です。
②鉄骨造(S造)とは?
鉄骨造とは、柱や梁などの構造体に鉄骨を用いた建築物のことです。S造のSは、鉄の「Steal」を意味します。
一般的に、鋼材の厚みが6mm以下であれば軽量鉄骨造、6mm以上は重量鉄骨造と定義されます。重量鉄骨造はマンションなどの大規模な建物、軽量鉄骨造は住宅や店舗などに用いられることが多いです。
軽量鉄骨造の代表的な工法は、工場で作った部材を組み立てて設置する「プレハブ工法」です。プレハブ工法による建物の出来は、職人の技術力に左右されないため、安定した品質、低いコスト、短い工期を叶えます。
③鉄筋コンクリート造(RC造)とは?
鉄筋コンクリート造とは、鉄筋を埋めたコンクリートで建てられた建物のことです。RC造とは、鉄筋コンクリートを意味する「Reinforced Concrete」の略語です。
柱や梁、壁などの主要な構造部に鉄筋を張り、型枠の中にコンクリートを打ち込みます。引っ張る力に強い鉄筋、圧縮に強いコンクリートを合わせることで、高い強度を実現できます。
なお、鉄筋コンクリートの構造に鉄骨を内蔵した、「鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)」という構造もあります。鉄骨の周りに鉄筋を張り、さらにコンクリートを打ち込む手法です。SRC造は、主に高層マンションなどの大規模な建物に用いられます。
2:木造住宅に用いられる木造建築の工法
木造の戸建て住宅で用いられる工法の種類、仕組み、メリット・デメリットを詳しく解説します。
①木造軸組工法
木造軸組工法とは、古くから用いられる工法で、「在来工法」とも呼ばれます。
柱と梁で四角形の骨組みを作り、対角線上に木材を組み込むことで耐久性を高める工法です。なお、斜めの対角線に組み込む木材を「筋かい(すじかい)」といい、クロスの形状や連結部分の金具で強度を高めます。
さらに、木造住宅における木造軸組工法は、「在来工法(仕口金物補強工法)」と「金物工法(ドリフトピン工法)」に分類されます。在来工法の仕口金物補強工法とは、材木を直角に接合するために仕口加工を施し、金物で木材を補強する方法です。
伝統的な在来工法では、木材を接合する継手(部材を同じ方向につなぐ接合部)や仕口(部材を異なる方向につなぐ接合部)は、職人の手で加工し、金属を使わずに木材をかみ合わせるという手法を採用します。
しかし、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災で、多くの木造住宅が倒壊したことを受けて、2000年(平成12年)に建築基準法の耐震基準が改正され、木材の接合部に金物を使用することになりました。
一方の金物工法とは、接合部分自体を金物に置き換えて木材を連結する方法です。仕口金物補強工法のように木材を彫る必要がないため、耐震性をさらに高められます。
木造軸組工法のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
木造軸組工法のメリット | 木造軸組工法のデメリット |
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②枠組工法(ツーバイフォー工法)
枠組工法は北米が発祥の工法であり、厚さ2インチ、幅4インチの角材と合板で箱状の空間を作る工法です。
パネルで壁や床、天井を作るため、「面」で家を支えるのが枠組工法の特徴です。
木造枠組工法のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
木造枠組工法のメリット | 木造枠組工法のデメリット |
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③木造ラーメン工法
ラーメン工法とは、柱や梁の骨組みを鉄骨にして、荷重を支える工法のことです。木造ラーメン工法は、鉄骨の代わりに木材を使用し、木造住宅に応用した工法です。
木材の柱と梁をボルトや鋼板などで接合した構造物を作ることで、筋交いや耐力壁を使わずに建物を建てられます。
骨組みの強度が高く、開放感のある空間が作れるため、3階建ての木造住宅を建てる際に適しています。ただし、強度と耐久性に優れる反面、建築コストが高くなるというデメリットもあります。
木造ラーメン工法のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
木造ラーメン工法のメリット | 木造ラーメン工法のデメリット |
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3:木造建築のメリット
木造建築ならではのメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
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それぞれの詳細を解説します。
①建築のコストを抑えられる
鉄骨や鉄筋コンクリートと比べ、建築費用が安いのが木造の大きなメリットです。
鉄骨を使用する場合、防錆処理や対火処理などの下処理が必要です。一方、木材は簡易的な下処理で済むうえに、木材そのものが燃えにくい性質を持ちます。
また、軽量な木材は使用する機材も少なく済むため、基礎工事の手間がかからず、人件費などのコストを抑えることが可能です。
2022年度(令和4年度)の「建築着工統計調査」における、新築一戸建ての構造別の工事費予定額(全国平均)は、以下のとおりです。
構造 | 1戸あたり工事費予定額(万円) | 1平米あたり工事予定額(万円) | |
木造 | 1,942万円 | 18万円 | |
鉄骨造 | 3,756万円 | 30万円 | |
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5,178万円 | 33万円 | |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 5,536万円 | 34万円 |
上記の結果からも、建物の構造によって建築費用に大きな差が生じることがわかります。
②設計や間取りの自由度が高い
柱や梁などの骨組みが法律の基準を満たしていれば、間取りやデザインを自由に決められるのが木造建築ならではのメリットです。特に、木造軸組工法(在来工法)、木造ラーメン工法は、工法の種類のなかでも自由度が高い工法です。
構造上で必要な部分を除き、自分の希望に合わせた間取りやデザインを実現できます。ライフスタイルの変化に合わせて増改築しやすいうえに、解体しやすいことも木造住宅の魅力です。
③調湿効果で快適に過ごせる
調湿とは、湿度を吸収し、乾燥したときは湿気を放出する作用のことです。調湿性に優れる木造住宅では、一年中快適に過ごせます。また、木材は断熱性にも優れるため、カビや結露の抑制効果も期待できるでしょう。
さらに、木材は熱伝導率が非常に低いため、断熱材の使用量が少なく済むのも大きなメリットの一つです。
④地震の揺れに強い
鉄骨や鉄筋コンクリートを使った住宅に比べると、木造住宅は地震に弱い印象があるでしょう。しかし、木材はその「しなやかさ」で、地震の揺れを逃がす性質があります。
木材は曲げの力に強く、鉄やコンクリートよりも数倍、強度が高いとされています。さらに、木材は同じ状態に復元する力もあるため、適度に変形しながら地震の揺れを逃がすことが可能です。
また、木造は鉄骨よりも軽いため、建物自体の揺れが小さく済むこともメリットの一つです。
⑤耐火性に優れる
前述のとおり、木材は熱伝導率が非常に低い素材です。一定以上の厚みがある木材は特に燃えにくく、内部まで火がまわりにくい性質があります。
住宅に使用する木材は厚みがあるため、建物が倒壊するまで燃えるケースは多くありません。木造住宅は耐火性が高いことから、耐火建築物としても認められています。
一方、軽量鉄骨は熱で曲がる性質があるため、地震などで火災が発生すると木造住宅よりも倒壊しやすい傾向にあります。
⑥落ち着きと暖かみのある空間になる
木造建築の魅力は、木材ならではの暖かみを感じられることです。木ならではのぬくもり、心地よい手触り、独特の香りにより、リラックス効果を得られます。
木造住宅なら、木材から自然を感じ取れるのはもちろん、より落ち着きと暖かみのある空間を作れるでしょう。
4:木造建築のデメリット
メリットの多い木造建築ですが、以下のようなデメリットもあります。
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①柱や壁により設計が制限される
木造建築では耐震性を高めるために、柱や壁を多く設置しなければなりません。間取りの変更や増改築が比較的自由にできる反面、建物の構造上、外せない柱や壁もあります。
実際に、壁一面の窓、吹き抜け、柱の少ない開放的なリビングなど、木造建築では設計が難しい間取りもあります。
②品質にばらつきが出やすい
木造はほかの構造と比べて、職人の技量で仕上がりに差が出やすいとされています。職人が木材を加工する在来工法にこだわった家を建てたいときは、技術力のある職人や施工会社に依頼する必要があります。
ただし、近年ではプレカットの普及により、職人による品質の差は縮まりつつあります。
プレカットとは、工場で事前に木材の切断や接合部などの加工を行なうことです。現場で木材を加工する手間がなくなり、組み立てるだけで一定の品質が担保された家を建てられます。
③防音性が低い
木材は音を通しやすい性質があるため、鉄筋系と比べて防音性に劣ります。木材そのものが軽いことに加え、壁の内部にある空洞で音が伝わりやすくなるからです。
特に、交通量が多い大通りに面した住宅などでは、防音性を高める対策が必要です。壁の中に吸音性のある断熱材を設置する、2重サッシや防音ガラスを導入するなどして防音性を高めましょう。
④害虫が発生する可能性がある
木造建築では、天然の木材を使用することから、シロアリなどの害虫が発生する可能性があります。
特に、従来の木造建築では、地面があらわになる布基礎(ぬのきそ)が主流でした。布基礎とは、逆T字型の鉄筋コンクリートを、建物の壁面に沿って連続して設けた、帯状の基礎のことです。
地面はコンクリートに覆われていますが、布基礎では立ち上がった基礎の上に建物を建てます。建物と基礎の間に空間があるため、地面の湿気が上がることでシロアリの被害に遭う可能性が高まります。
一方、近年の木造住宅は、コンクリートによるベタ基礎が主流です。ベタ基礎とは、立ち上がった基礎の部分と床面を、鉄筋を入れたコンクリートで一体化した基礎のことです。布基礎のように地面の湿気が建物に伝わることがなく、シロアリの被害は起きにくいでしょう。
ただし、近くに川や池があって湿度が高い、風通しが悪い環境など、ベタ基礎であってもシロアリが発生しやすい条件があります。
シロアリの被害を食い止めるには、シロアリが発生していないか、定期的にチェックすることが大切です。検査や薬剤の散布など、アフターケアを提供する施工会社もあるため、事前に確認することをおすすめします。
まとめ
木造建築は日本の風土に適した構造で、新築の低層住宅の8割以上に採用されています。木材の調湿作用で快適に過ごせるうえ、熱伝導率の低さから耐火性と断熱性に優れています。ただし、間取りや設計の制限、防音性の低さ、害虫の発生リスクなど、木造ならではのデメリットも考慮することが大切です。
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