重要事項説明とは?詳しい内容や重要項目[兵庫県伊丹市]
2024/07/28
こんにちは、アークエステートです!
本日のテーマは「重要事項説明」について。不動産を購入する際には、売買契約の締結前に宅地建物取引士(宅建士)による重要事項説明を受ける必要があります。しかし、内容をよく理解できないまま契約を締結してしまう方も少なくありません。
この記事では、重要事項説明の目的や重要事項説明書の内容、重点的にチェックしたいポイントなどについて詳しく解説します。
1:重要事項説明とは?
はじめに、重要事項説明の概要と目的について解説します。
①不動産取引における重要事項説明とは?
重要事項説明(重説)とは、物件に関する重要事項を宅地建物取引士(宅建士)が説明することです。
宅建業法(宅地建物取引業法)に基づき、宅地建物取引業者には、物件の物理的な状況、権利の所在、取引条件などを、不動産の買主や借主に詳しく説明する義務があります。
なお、重要事項説明を受けるのは不動産の「買主」「借主」であり、「売主」「貸主」は説明を受ける必要はありません。
②重要事項説明を行なう目的
宅建業法では、不動産の売買や賃貸の契約が成立する前に、重要事項説明をすることが定められています。
重要事項説明を行なう目的は、買主や借主に物件の理解度を深めてもらい、トラブルを防止することです。
特に、不動産の売買に関しては、権利関係が複雑で、取引する金額も高額です。そのうえ、買主は不動産の知識に乏しいことが多く、正しい情報を知らないまま契約を結んでしまう可能性があります。
そのため、売買契約前の重要事項説明には、「買主を保護する」という重要な役割があるといえます。
③重要事項説明のタイミングと説明方法
住宅ローンの申し込みから重要事項説明の実施、引き渡しまでの主な流れは、次のとおりです。
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重要事項説明を実施する場所について、特に制限や決まりはありませんが、説明の前に宅地建物取引士(宅建士)は、資格証を提示する義務があります。
また、2017年(平成29年)からオンラインによる重要事項説明、いわゆる「IT重説」の運用が開始されています。IT重説とは、カメラを搭載したパソコンやスマートフォンを利用し、ビデオ通話で重要事項説明を受けられるものです。
仕事が忙しく時間が取れない方や、何らかの事情で家を出るのが難しい方などには、IT重説の活用がおすすめです。
④買主は重要事項説明をしっかり聞き、理解することが大切
「重要事項説明は、聞き慣れない不動産用語ばかりで難しい」などと感じ、疑問があってもつい聞き流してしまうこともあるかもしれません。なかには、「重要事項説明を省略できないか」と問い合わせる買主もいます。
しかし、重要事項説明は宅建業法に基づく義務であるため、買主の都合で省略することはできません。また、宅地建物取引士(宅建士)の説明を聞き流していると、後々思わぬトラブルに見舞われる可能性も否定できません。
そして、重要事項説明の終了後、買主は重要事項説明書に押印する必要があります。つまり、あとから「知らなかった」「聞いていない」といった言い訳は通用しないので注意が必要です。
契約内容で気になる点があれば、その都度、宅地建物取引士(宅建士)に質問しましょう。
2:重要事項説明書に記載されている内容
重要事項説明書とは、重要事項説明の際に買主に交付する書面のことです。重要事項説明書には、取引物件と取引条件に関して、主に以下の重要事項が記載されています。
取引物件に関する事項 |
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取引条件に関する事項 |
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上記の項目のうち、特に確認が必要な重要事項説明書の内容について解説します。
①取引物件に関する事項
取引物件に関する事項のうち、特に確認が必要な項目としては、以下のものが挙げられます。
《物件の所在地や面積など》
まずは物件の所在地や面積、構造などが、購入を予定している物件と一致するか確認しましょう。
土地に関する情報は、説明の際に添付される登記事項証明書(登記簿謄本)や測量図、公図などと比べることが大切です。
建物の構造や面積に関する情報は説明を受けますが、建物内の設備や仕様は重要事項説明書に記載されていません。建物を細部まで調べるときは、物件状況報告書(告知書)を確認するとよいでしょう。
特に、物件の面積は、住宅ローン控除や税金の軽減措置にかかわります。物件を紹介するチラシやパンフレットと、重要事項説明書の内容に食い違いがないかチェックしましょう。
《登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている情報》
重要事項説明書には、不動産の所有権、および所有権以外の登記が記載されています。所有権の登記を確認する際は、売主以外に権利者がいないか、必ず確認しましょう。
不動産が共有名義なら、共有者も同席するのが基本です。しかし、重要事項説明に同席していない場合は、共有者の同意を得ているか確認する必要があります。
所有権以外の登記では、相手方の抵当権が登記されています。抵当権は引き渡しまでに抹消されますが、抹消の時期を念のため確認するとよいでしょう。
同様に根抵当権、地上権、借地権、地役権などの権利も抹消されているか確認しておくと安心です。
また、「仮登記」という設定がある場合、物件を所有できないことがあるので特に注意が必要です。
《法令上の制限》
法令上の制限とは、土地の用途地域、建ぺい率などを指します。建物を建てて問題がない土地か、土地の用途は何かなど、詳細な情報を確認することが大切です。
特に、戸建ての住宅を購入する際は敷地の面積、建物の高さなど、法律の基準を満たしているかチェックしましょう。
《インフラの整備状況》
飲用水、電気、ガスなどのインフラに加え、排水施設の整備状況を確認しましょう。特に中古の一戸建てや土地では、インフラの整備が整っていないケースがあるからです。
インフラが整備されていない場合、重要事項説明書には整備の時期、工事費負担者などが記載されています。買主が工事費の負担を求められることもあるため、重要事項説明書で事前に確認しておきましょう。
《物件の状態》
建物の維持管理の状況を、さまざまな書類から確認します。
新築物件の場合、設計図、行政の確認済証や検査済証、各種の調査報告書をもとに説明を受けます。管理が行き届いている物件は、調査に関する書類が多いのが特徴です。
なお、建物が未完成のときは、完成予定の内容について説明を受けます。
中古物件の重要事項説明書には、建物状況調査の実施状況が記載されています。物件状況確認書と付帯設備表をもとに、建物の維持管理に関する状況を確認しましょう。
また、中古物件を購入する方は、アスベスト(石綿)が利用されているかどうかも確認すべきです。
アスベスト(石綿)とは、「繊維状ケイ酸塩鉱物」のことで、かつて断熱や保温を目的とした建築材として広く利用されていました。しかし、繊維が極めて細く、飛散した繊維を吸い込むことで、肺がん、石綿肺(じん肺の一種)、悪性中皮腫などを引き起こすことがわかり、現在ではアスベストの製造、輸入、譲渡、提供、使用が全面的に禁止されています。
アスベストを吸入したことで健康を害したとして、実際に訴訟になった事例もあります。
このような状況を受けて、重要事項説明書にはアスベストの使用調査に関する情報が記載されています。中古物件を購入するときは、アスベストの使用の有無を必ず確認しましょう。
《災害時のリスク管理》
購入を検討している不動産が、土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域に該当するか確認しましょう。
重要事項説明書では、行政が公表するハザードマップにおける、取引対象物件の所在地(位置)に関する説明が義務となっています。日本では地震や水害、土砂災害の自然災害が多いため、災害のリスクについて把握しておきましょう。
②取引条件に関する事項
取引条件に関する事項のうち、特に重要な事項について解説します。
《購入代金以外に必要な金銭》
重要事項説明書には、物件の代金に加え、契約時の手付金など必要な金銭について記載されています。金銭の目的や具体的な金額を、重要事項説明のタイミングで確認しましょう。
なお、購入代金以外に発生する金銭には、管理費、修繕積立金の清算、金固定資産税などが挙げられます。手付金に関しては、保全措置の有無なども併せて確認しましょう。
《契約を解除する方法や条件》
重要事項説明書には、不動産の売買契約の締結後、契約を解除する方法や取り決めが記載されています。
そもそも不動産の売買契約は法的なものであり、簡単には解除できません。契約の締結後、売主があとから現れた条件の良い購入希望者に売るために契約を解除する、といったことがないようにするためです。
そこで、重要事項説明書で契約を解除できる理由と解除方法、期日などを取り決める必要があります。契約の解除が認められるケースは、契約不適合責任、相手の契約違反、手付金の放棄・倍額返還、住宅ローンの特約などが挙げられます。
また、不動産の売買契約で違反があったときに備え、損害賠償、違約金の内容についても確認しましょう。違約金は購入代金の1~2割程度で設定され、損害賠償が発生する可能性もあります。不動産の売買では大金が動くため、違反を起こさないよう注意が必要です。
《契約不適合責任に関する措置》
契約不適合責任とは、売買契約で何らかの不備があった際に、売主が買主に対して負う責任のことです。
契約不適合責任は従来の「瑕疵(かし)担保責任」であり、民法改正で名称が変わっただけでなく、売主側の責任が重くなっています。売買契約書と実際の契約内容で異なる部分があったとき、売主が買主に対して責任を負う必要があります。
契約不適合責任により、買主側には以下の権利が認められます。
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重要事項説明書には、事前に告知する瑕疵や欠陥、責任の範囲などが記載されています。
特に、中古物件の場合、契約不適合責任に関して特約(契約不適合責任免除特約)を設けることがあります。中古物件は築年数が経過している関係上、建物や設備に不具合が生じる可能性があるためです。
契約不適合責任の特約には、売主が責任を負う範囲や欠陥の通知期間、経年劣化しやすい設備を免責にするなどの内容が定められています。中古物件を購入する予定がある方は、特約の内容をしっかり確認しましょう。
《その他の事項》
「その他の事項」には、対象物件だけに該当する重要事項が「特約条項」として記載されます。重要事項説明書の項目で記載できない内容や、売主と買主の取引で定められる内容も含まれます。
具体的には、ごみ処理場や墓地といった嫌悪施設の有無、生活上のルール、引き渡し前から認識している設備の不備などが記されることが一般的です。
また、上下水道管の管理、越境(建物の設備などの一部が隣地に侵入すること)に関する申し合わせ、自治会や町内会の情報などが記載されるケースもあります。いずれも、新たな住まいで快適に暮らすために知っておくべき内容であるため、見落としのないように確認しましょう。
3:マンションにおける重要事項
これまで紹介した重要事項説明書の項目は、戸建てに該当する内容です。マンションは戸建てと異なり、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)に基づき、権利や物件の維持管理をする必要があります。
区分所有法に基づく、マンションの重要事項は次のとおりです。
①マンションの敷地権
マンションは一棟の建物を区分して所有することになります。これを敷地権といい、敷地権は「借地権」または「所有権」にわけられます。
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重要事項説明では、マンションの土地の権利が「借地権」か「所有権」かを確認する必要があります。
土地が「借地権」に該当する場合、「普通借地権」か「定期借地権」のどちらに当たるのかも確認しましょう。「定期借地権」であった場合、期間の満了後に建物を取り壊し、更地として返還しなければなりません。
定期借地権付きのマンションは、将来の解体に備えた解体積立金、土地権利金、保証金、前払い賃料などを地主に支払わなければならないケースもあります。
②共有部分と専有部分の持ち分
マンションには、すべての区分所有者で共用する部分と、単独で所有できる専有部分があります。重要事項説明書では、この共用部分と専有部分に関する記述もチェックしましょう。
共用部分に関しては、区分所有者の持ち分について確認が必要です。また、専有部分であっても、ペットの飼育や楽器の演奏などの制限があるケースもあるため要注意です。
③マンションの管理や修繕の状況
マンションの維持管理を行なう委託先、管理の形態を確認しましょう。重要事項説明書には、委託先だけでなく、委託内容も記載されています。
マンションの管理・修繕には、資産価値を保つという重要な役割があるため、これまでの大規模修繕の実施状況や、今後の予定もチェックすることが大切です。
なお、マンションに住むうえで毎月発生する、管理費、修繕積立金の具体的な金額も確認しておきましょう。中古物件の場合、修繕積立金の滞納の有無を確認し、滞納がある場合はどのように対処すべきかを問い合わせます。また、修繕積立金の残高を確認することも大切です。残高が極端に少ない場合、必要な修繕が実施できない可能性もあります。
まとめ
重要事項説明は宅建業法に基づき、不動産の売買契約の締結前に、不動産の状態や取引状況を買主に説明するものです。重要事項説明は宅地建物取引士が対面で説明を行ないますが、オンラインによるIT重説の利用も可能です。
重要事項説明で交付される重要事項説明書は、不動産に関する重要な内容が記載されています。特にチェックすべき項目では、宅地建物取引士(宅建士)の説明をしっかり聞くことが大切です。なお、マンションは戸建てと条件が異なるため、敷地権の状況や共用部分の持ち分、修繕の状況なども併せて確認しましょう。
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