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農地法とは?農地の売買・転用時の規制や法改正の内容について[兵庫県伊丹市]

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農地法とは?農地の売買・転用時の規制や法改正の内容について[兵庫県伊丹市]

農地法とは?農地の売買・転用時の規制や法改正の内容について[兵庫県伊丹市]

2024/07/21

こんにちは、アークエステートです!

本日のテーマは「農地法」について。農地は、食料を安定して生産・供給するうえで重要な資源です。そのため、所有する農地を売買したり、農地以外の用途に利用したりすることは、農地法で制限されています。農地法の概要や具体的な規制内容、近年の農地法の改正点の解説はもちろん、農地を売却・転用する場合に早めに行動すべき理由などについて解説していきます。

 

 

1:農地法とは?

農地法とは、「農地を所有・利用する権利の設定や、農地を農地以外のものにすることの制限」などを定めた法律です。

農地法の目的は、同法第1条で以下のとおり定められています。

 

耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。

 

米や野菜といった食料を安定的に生産・供給すべく、重要な資源である農地を法律によって守っているのです。

なお、農地法に関する手続きの窓口は、基本的には各市区町村に設置されている「農業委員会」が担います。農業委員会は農地利用の最適化などを推進すべく、農地法に基づいた売買や転用といった各種事務作業を行なう行政機関です。

 

 

2:農地法の規制対象となる土地

農地法の規制がかかる土地には、農地と採草放牧地があります。ここでは、それぞれの定義などを解説します。

 

 

①農地

農地とは、作物の栽培のために利用される田んぼや畑、すなわち農業用の土地のことです。

対象の土地が農地かどうかの判断は、農業委員会が行ないます。その際には、客観的な視点に基づく「現況主義」が採用されるのが特徴です。

「現況主義」では、例えば、登記事項証明書(登記簿謄本)上は農地ではない土地でも、農業に利用されていれば農地とみなされます。逆に農地として登記されていても、耕作が行なわれている形跡がない、など現況によっては農地と判断されないケースもあります。

ただし、単に休耕地や不耕作地であるだけなら、農地と判定される可能性が高い点には注意が必要です。一般的に「現況が農地ではない」と判断されるのは、長期間放置され、容易に農地に復元できないような状況の土地に限ります。

 

 

②採草放牧地

採草放牧地とは、耕作・養畜目的の採草や家畜の放牧に利用される農地以外の土地のことです。

ただし、あくまでも農地法上の土地区分であり、登記事項証明書(登記簿謄本)上に「採草放牧地」と記載されているわけではありません。実際には、「原野」または「牧場」という地目で取り扱われています。

 

 

3:農地法の規制内容

農地の権利を設定・移動する場合や、農地を農地以外のものにする場合は、農地法に基づく許可や届出が必要です。ここでは、代表的なケース別に農地法の規制内容を解説します。

 

・農地のまま権利を移動する場合(農地法第3条)

・農地を転用して自己使用する場合(農地法第4条)

・転用目的で農地の権利を移動する場合(農地法第5条)

 

 

①農地のまま権利を移動する場合(農地法第3条)

農地を農地のまま売買・賃借する場合は、農地法第3条に基づく農業委員会の許可が必要です。

個人が農地のまま売買・賃借する際の主な許可要件には、大きく分けて以下の3つがあります。

 

全部耕作要件

取得する農地のすべてを効率的に利用できる

労働力・機械・技術があること

常時従事要件

農地の取得者やその家族などが原則

年間150日以上農作業に従事すること

地域調和要件 周辺の農地などの利用に支障をおよぼさないこと

 

なお、農地は農家や農業従事者にしか売却できない点にも注意しましょう。

 

 

②農地を転用して自己使用する場合(農地法第4条)

農地を農地以外のものにすることを「農地転用」といいます。所有する農地を宅地などへと転用して自ら利用する場合は、農地法第4条に基づく農業委員会への届出または許可が必要です。

例えば、相続した農地を宅地にしてマイホームを建てる、駐車場にするケースなどが該当します。

しかし、農地は立地基準によって以下の5つの区分に分類されており、農地転用が可能なのは原則として「第2種農地」と「第3種農地」のみです。

 

区分 概要 許可方針
農業振興地域内農用地区域内農地(青地) 農業振興地域の整備に関する法律(農振法)に基づく農振農用地区域にある 原則不許可
甲種農地 市街化調整区域内にあり、特に良好な営農条件を備えている 原則不許可
第1種農地 良好な営農条件を備えている 原則不許可
第2種農地 第3種農地に近接する区域内などにあり、ほかのいずれの区分にも該当しない 第3種農地に立地困難な場合などは原則許可
第3種農地 市街地または市街地化の傾向が著しい区域内にある 原則許可

 

 

③転用目的で農地の権利を移動する場合(農地法第5条)

他人の農地を取得または借りて転用し、利用する場合は農地法第5条に基づく農業委員会への届出または許可申請が必要です。農地の区分による転用許可方針は、前項で紹介した農地法第4条の場合と基本的には変わりません。

なお、農地のなかには、農振法や都市計画法など農地法以外の法令の制限も受ける土地があります。農地法の転用許可基準を満たしていても、ほかの法令で許可の見込みがなければ農地の転用許可は下りないため注意しましょう。

 

許可を受けずに、または許可内容と異なる農地転用をすると、「違反転用」になります。違反転用者は、当初の農地の状態に復元すること(原状回復)を求められたり、罰則が科せられたりします。もちろん、違反転用で農地の権利を移動しても、その効力は生じません。

 

農地転用は農地の立地や目的などケースごとに適切な対応が異なるため、最初に管轄の農業委員会へ相談することが重要です。

 

 

4:農地法は時代に合わせて改正されている

農地法は、1952年(昭和27年)に制定されたあと、時代に合わせて改正が行なわれてきました。ここでは、近年の農地法改正によって内容がどう変化したのかを見ていきましょう。

 

 

①2015年(平成27年)の改正

2015年(平成27年)の農地法改正(翌年4月1日施行)では、農地を所有できる法人の要件が見直されました。

法改正前は法人の構成員のうち農業関係者が「4分の3以上」を占める必要がありましたが、法改正後は「2分の1超」に緩和されました。

また、役員のうち農作業に従事すべき人数も緩和されています。要件が緩和されたことで、従来よりも法人への農地の売却がしやすくなった点がポイントです。

 

 

②2022年(令和4年)の改正

2022年(令和4年)の改正(翌年4月1日施行)では、農地を取得する際の「下限面積要件」が廃止されました。

これまで農地法第3条の許可を得るには、農地取得者が耕作する面積の合計が原則として以下の基準に達していなければなりませんでした。

 

地域 下限面積
都府県 50a(アール)
北海道 2ha(ヘクタール)

 

下限面積要件が設けられていた理由は、農地取得者が農業経営を安定・継続して行なえるかを見極めるためです。

しかし、時代の変化とともに農業従事者が減少し、耕作が放棄されている農地が目立つようになりました。そこで下限面積要件を廃止し、小規模でも農地を利用してもらって耕作放棄地の削減を目指す、という方針に変わったのです。

ただし、下限面積要件は廃止されても、「3-1,農地のまま権利を移動する場合(農地法第3条)」で紹介した「全部耕作要件」「常時従事要件」「地域調和要件」は満たす必要があります。

 

 

5:農地を売却・転用するなら、早めに行動すべき?

農地の売却や転用を考えている場合は、なるべく早めに行動するのがおすすめです。ここでは、その理由を4つの項目に分けて解説します。

 

  1. ・買手が見つかりにくい
  2. ・農地としての価値が下がる
  3. ・農地法の手続きに時間がかかる
  4. ・固定資産税がかかる・高くなる

 

 

①買手が見つかりにくい

ここまで解説してきたとおり、農地を農地のまま売却する場合は取引相手が制限されます。個人・法人ともに農業をすることが農地取得の前提条件となるため、農地を取得したい方が近隣にいないと買主は見つかりにくいでしょう。

そのため農地を売りたいと思ったら、農地売買に強い不動産会社に相談するなどして早く買主を探し始める必要があります。

 

 

②農地としての価値が下がる

そもそも農地は、宅地などと比べて取引価格が安い傾向にあります。農業従事者の減少に伴い、需要が減っているのはもちろん、農地法における制限により利用用途が限定されているためです。

さらに農地を放置すると、以下のような理由から資産価値の低下が懸念されます。

 

  • ・雑草が生い茂る
  • ・害虫や鳥獣被害に遭う
  • ・ゴミなどの不法投棄が発生する
  • ・土壌の質が低下する

 

農地としての価値が下がれば、取引価格がさらに安くなってしまいます。加えて、雑草・害虫・鳥獣などの発生によって近隣の土地や住民に被害をもたらすかもしれません。

また農地を転用する場合でも、放置された農地は状況を改善するところからスタートしなければならず、余計な手間がかかります。

このような点を踏まえると、不要な農地を手放したいなら価値が下がる前に行動に移すことが大切といえるでしょう。

 

 

③農地法の手続きに時間がかかる

売買などを行なう際に必要な農地法に基づく農業委員会の許可は、申請後すぐに下りるわけではありません。自治体によって多少差があるものの、目安として以下の時間がかかります。

 

農地法の分類 手続きにかかる時間の目安
農地法第3条 1ヵ月程度
農地法第4条 1ヵ月半から2ヵ月程度
農地法第5条

 

申請のための準備期間も考慮すると、一般的な転用許可の場合は3ヵ月以上かかると見込んでおいたほうがよいでしょう。

さらに、農地法の許可申請には自治体ごとに締切日が設けられています。締切日を逃すと手続きの開始が1ヵ月ほど遅くなるため、注意が必要です。

 

 

④固定資産税がかかる・高くなる

農地を含めた不動産は、使用していなくても所有しているだけで固定資産税を納めなければなりません。固定資産税の金額は、その不動産が属する市町村(東京23区は東京都)によって3年に1度見直され、決定される定資産税評価額をもとに算出されます。

ただし、近年は耕作放棄地への課税が強化されています。耕作が放棄されていると農業委員会から勧告を受けると、通常の1.8倍の固定資産税を納めなければなりません。

そのため、何らかの事情で耕作ができない農地があるなら、早めの売却を検討するとよいでしょう。

 

 

まとめ

農地法では、限られた資源である農地を守るため、農地の売買や転用などに関する規制を定めています。現況が農地と判断された土地を売買・転用する際には、事前に農業委員会へ届出または許可申請をしなければなりません。

しかし、農業委員会から農地法に基づく許可が下りるまでには1ヵ月~2ヵ月ほどの時間がかかります。また農地を購入できる買主は農家に制限されていることから、農地を売却したい方は早めに準備を始めるとよいでしょう。農地の価値が下がる前に買主を見つけられれば、より高い価格で売却できるようになります。

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伊丹市で土地の再開発を実施

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